卵とチーズのまろやかさに、味噌のコクと香りが重なる濃厚カルボナーラ。定番パスタにひとさじの味噌を加えるだけで、奥行きのある一皿に。こし味噌を使えば、見た目も鮮やかに仕上がります。手軽に楽しめる簡単アレンジレシピをご紹介します。
「お味噌を使った料理と言えば、やっぱりお味噌汁?」
冷蔵庫に常備されている定番調味料の味噌。でも、いつも使うのはお味噌汁や、キュウリなどの生野菜に添えるくらいでした。
そんなある日、長野県須坂市にある老舗の味噌蔵「塩屋醸造」を見学する機会がありました。200年の歴史を持つ蔵で、11代目の上原さんがいろいろなお話を聞かせてくれたのですが、その中で驚いたのが「実はお味噌は洋食とも相性がいいんですよ」という言葉。
「え、お味噌を洋食に?」
最初は半信半疑でした。でも上原さんがおすすめしてくれた「こし味噌」を使ったカルボナーラのレシピを試してみたら、「本当にお味噌が入っているの?」と驚くほどおいしかったんです。それ以来、少しずつ自分好みにアレンジを加えながら何度も作るようになり、とっておきの定番レシピになりました。
今回は、そんな「こし味噌」を使った濃厚カルボナーラのレシピをご紹介します。
味噌×カルボナーラにおすすめな「こし味噌」

味噌とチーズ。意外な組み合わせですが、よく考えてみればどちらも「発酵食品」。
味噌単体では、そのまま食べるには塩辛かったり、味噌っぽさが前に出てしまうのですが、味噌の深いコクや香ばしさが、チーズのクリーミーさと馴染み、お互いの良いところを引き立て合うようなイメージです。
隠し味として少量加えるだけなので、「味噌味の和風パスタ」になるわけではなく、あくまでカルボナーラなのにいつもより奥行きがある。そんな不思議な美味しさが生まれます。
味噌にもいろいろありますが、カルボナーラに使うなら「こし味噌」がおすすめです。
こし味噌とは、味噌を包装する前に細かくすり潰し、大豆や米の粒を残さないように裏ごしした味噌のこと。なめらかな口当たりが特徴です。
普通の味噌でももちろんおいしく仕上がりますが、どうしても大豆の粒々が目立ち、ザラっとした舌触りのソースになります。「何か入っているな?」と分かってしまうので、隠し味には向きません。
こし味噌なら、裏ごししてあるから粒が目立たず、卵液と自然に馴染んでなめらかなソースに仕上がります。
今回は、塩屋醸造さんの「白こし味噌」を使いました。
今回のレシピでは、このこし味噌をちょっとひと工夫して使います。それでは、実際に作ってみましょう。
こし味噌カルボナーラのレシピ(1人前)
材料(1人前)
- パスタ:1束(約100g)
- ベーコン:80g
- ニンニク:1片
- 卵(Mサイズ):1個
- 卵黄(Mサイズ):1個分
- 粉チーズ:60g
- こし味噌:15g
- 水:60ml
- 粗挽き黒こしょう:4g
- オリーブオイル:15g
トッピング
作り方
1. 下準備をする
ニンニクは包丁の腹で潰します。ベーコンは1cm幅に切っておきましょう。
2. ベーコンとニンニクを炒める
フライパンにオリーブオイルを入れて火にかけ、潰したニンニクと粗挽き黒こしょうを加えます。
ニンニクの香りが立ってきたら、ベーコンを加えてカリカリになるまで炒めます。
炒め終わったニンニクとベーコンは、一度取り出しておきましょう。
3. こし味噌を炒める(ここが一番大事!)
ベーコンを炒めたフライパンに、こし味噌を加えます。中火でじっくり炒め、「焼き味噌」にすることで、香ばしさと深いコクが生まれます。
味噌がふつふつとして焼き色がつき、香ばしい香りが立ってきたら、水を60mlほど加えます。
ヘラでよく混ぜながら全体が馴染むまで炒め合わせましょう。
4. パスタを茹でる
鍋にたっぷりのお湯を沸かし、塩を加えます。お湯1リットルに対して塩は小さじ1くらいが目安です。袋に書いてある時間通りに茹でましょう。
5. 卵液を準備する
ボウルに卵、卵黄、粉チーズを加え、ホイッパーでよく混ぜましょう。
6. 茹で汁を加える
パスタの茹で汁を、おたま1杯分くらい取り分けます。
それを卵液に少しずつ加えながら、よく混ぜましょう。
7. パスタと味噌を混ぜる
茹で上がったパスタをザルにあげ、しっかりと水気を切ります。
焼き味噌を入れたフライパンに加え、手順2のニンニクとベーコン(半量)を戻します。
弱火で軽く炒めながら全体に味噌を絡めましょう。
8. 卵液を加える(ここがドキドキポイント)
一度フライパンを火から下ろし、卵液を少しずつ加えます。
パスタをよく混ぜながら、丁寧に卵液を絡めましょう。
9. とろみをつける
卵液を全部加えたら、フライパンを再び弱火にかけ、ゆすりながら全体を混ぜます。ソースがとろっとして、パスタに絡むようになったら完成です。
10. 盛り付ける
お皿にパスタを盛り付け、残りのベーコンと粉チーズ、粗挽き黒こしょうをトッピングしたら完成です!
実食!こし味噌カルボナーラの深み

さて、こし味噌カルボナーラができあがりました。見た目からは、味噌が入っているとはわかりません。
一口食べると、その濃厚さに驚きました。卵とチーズのまろやかさの中に、味噌の深いコクが溶け込み、口の中で何層にも味が広がります。
舌触りもなめらかで、味噌の味が主張しすぎることもなく、ふわっとした香ばしさが鼻に抜けます。ベーコン、ニンニクとの相性も抜群。濃厚でありながら飽きがこず、最後の一口までおいしく味わえました。

今回のレシピに登場した「味噌を焼く」という工程は、グラタンのホワイトソースやシチュー、カレーなどいろいろな料理に応用できそうです。ちょっと使い方を工夫するだけで、いつもの料理にぐっと奥行きが出ます。
予想外の組み合わせが思いのほかおいしく仕上がり、「こんな使い方もあるんだ!」という発見があるかもしれません。
「今日の夕飯、何にしよう」 「休日のランチ、ちょっと特別なものが食べたいな」
そんな時に、ぜひこのこし味噌カルボナーラを試してみてください。ひとさじの冒険で、ちょっと特別な一皿が生まれるはずです。