無添加でおいしい醤油を見つける 醤油の選び方5つのポイント

【醤油の選び方 1】つくりたい料理に合わせて選ぶ

醤油の種類はJAS法で5つに分けられています。まずは、醤油の種類を確認しましょう。それぞれの種類の醤油には、得意分野があります。調味料としてその違いを理解して使い分ければ、料理の幅がぐんと広がりますよ。

①一本で万能に使える定番 濃口(こいくち)醤油

全生産量の80%を占める一般的な醤油です。どんな料理にも幅広く使える万能選手です。

肉じゃがなど定番料理もバランスのいいコクのある仕上がりに。刺身や寿司に使う場合も、どんな魚でも文句なしの相性です。

②色と香りを大切にする料理に 淡口(うすくち)醤油

色が淡く、塩味が強いのが特徴。素材の色を活かし、塩味が味に締まりを与えてくれます。兵庫県龍野市が発祥で、京都の精進料理や懐石料理に使われて発展してきました。

炊き合わせや茶碗蒸しなどに向き、卵焼きにも相性抜群。お刺身にも意外と相性が良く、赤身のマグロよりもヒラメなどの淡白な魚の甘みによく合います。

「なんとなく味が締まらない」という場合に便利で、塩の代わりに淡口醤油を加えると仕上がりに締まりを出すことができます。

③料理に深い旨みを持たせる 溜まり(たまり)醤油

溜まり醬油は「豆味噌」をつくる過程で生まれた醤油です。色が濃く、とろみがあり、味噌のような香りが特徴です。主原料が大豆であるため、味は旨みの宝庫。主に、赤味噌文化が根付いた東海地方で好まれています。

鳥の手羽先などの照り焼きに向き、加熱による鮮やかな赤みと照り、そして深い旨みが食欲をそそります。伊勢うどんの出汁にも使用されています。マグロのような刺身では、お醤油を楽しみつつ素材の旨みを楽しめるという「通」な食べ方ができますよ。

④濃厚な卓上用が欲しいなら 再仕込(さいしこみ)醤油

「2段仕込み」や「甘露醤油」とも呼ばれる再仕込醤油は、材料を2倍使用し、2年の熟成期間をかけてつくられます。食塩水ではなく生揚げ醤油(諸味から絞り出したままの醤油のこと)で仕込むため、「再仕込」と呼ばれています。

発祥は山口県柳井地方で、卓上用としての使い方だけでなく、鯛茶漬けなどにもおすすめ。ソースのような調味料として、揚げ物にとろりとかけるのもまた格別で、カレーのコクだしに隠し味としても使えます。青魚などに薬味をたっぷりのせて食べたい醤油です。

⑤素材の甘みを引き立たせる料理に 白(しろ)醤油

麦を主原料とし、淡白な味わいながら甘みと塩味が強く、麦みそのような独特の香りがあります。発祥は愛知県碧南市で、万能調味料の白だしは、この白醤油にだしと甘みを加えたもの。色をつけずに甘みを添えるので、お吸い物や卵料理と相性抜群です。

肉じゃがのような煮物では、素材の甘みを活かす仕上がりに。マグロのような刺身も甘みが引き立って、普段とは違うおいしさを味わえます。筆者おすすめは、焼きおにぎり。塩むすびのようにお米の甘みを引き立たせ、食塩よりもやわらかな味わいをどうぞ。

【醤油の選び方 2】原材料を確認して選ぶ

無添加とそうでない醤油の違いは?

無添加の醤油は、原材料はシンプルに「大豆・小麦・塩」のみでつくられています。これに対して、甘みを出すために砂糖や甘味料、アミノ酸などの添加物が入っている醤油もあります。無添加調味料が欲しい場合は、必ず原材料を確認しましょう。

丸大豆?脱脂加工大豆?味の違いは?

「丸大豆」と表記されている醤油は、大豆をそのまま使用しています。醤油の製造過程で大豆の油分を除去するのですが、あらかじめ化学処理により油分を除去したものが「脱脂加工大豆」です。

味の違いとしては、丸大豆の方がまろやか、脱脂加工大豆は旨みが強い特徴があります。昔ながらの味わいを求めるならば、丸大豆で造られたお醤油を選ぶといいですね。

【醤油の選び方 3】醸造法の種類で選ぶ

お醤油の醸造法は「本醸造」「混合醸造」「混合」の3種類があります。これは、アミノ酸添加の有無と入れるタイミングで変わります。

本醸造混合醸造混合
原材料
大豆・小麦・塩 のみ
原材料原材料
江戸時代から続く伝統的な製法発酵させる前の諸味(もろみ)にアミノ酸液を添加する絞った醤油にアミノ酸液を添加する
・大豆のたんぱく質をゆっくり「旨み」に変える
・小麦のでんぷんをゆっくり「甘み」に変える
・植物性たんぱく質を化学的に分解した旨みを添加する
・糖類や甘味料など甘みを添加する
・植物性たんぱく質を化学的に分解した旨みを添加する
・糖類や甘味料など甘みを添加する

天然醸造とは?

このなかでも、「天然醸造」と記載されているお醤油があります。天然醸造とは、JAS法で以下の3つの条件をクリアしている無添加の醤油だけに表示をすることができます。

天然醸造の3つの条件

1.本醸造である

2.酵素を添加していない

3.食品添加物を使用しない

無添加の醤油が欲しい場合は、天然醸造を選ぶと間違いありません。天然醸造は時間と手間がかかり、大量生産ができませんが、深みのあるコクや旨み、まろやかな味わいとほのかな大豆の香りを味わうことができます。

【醤油の選び方 4】仕込み方法の違いにこだわって選ぶ

仕込み方法には、木桶仕込みとタンク仕込みの2種類があり、その違いは醤油作りに欠かせない微生物が住みつけるかどうか。木桶に住み着いている微生物は、自然環境や管理方法によって醤油蔵ごとに違い、醤油蔵ごとの味や香りの違いを生み出しています。

大量生産を可能にしたタンク仕込みの場合には、仕込む前に洗浄してタンク内を無菌状態にするため、人工培養した菌の添加が必要です。

できれば、自然に存在する微生物の力を使った醤油を選びたいですよね。ですが、タンクが悪いというわけではなく、木桶の職人が減る現状で、伝統的な味を最新技術に置き換えることで昔からの味を守る蔵元もあります。こだわりを見つけたい場合は、ぜひこの仕込み方法もチェックしてみてください。

【醤油の選び方 5】地域による味の違いで選ぶ

全国各地でつくられてきた伝統調味料だからこそ、地域による味の違いが大きいもの。例えば、関東の出身の方が九州のお醤油を買うと甘すぎ、逆に九州の方には関東のお醤油

は塩辛く感じます。そのため、地域に根付いて発展してきた醤油ごとの特色を理解していれば、醤油を選ぶ際に失敗しません。

それぞれの地域による味の違い

関東では、色も味も濃い醤油が好まれます。北海道・東北でも関東タイプが主流で、秋田では濃厚なしょうゆ、山形ではつゆや出汁入り醤油が好まれる傾向に。

東海・北陸では、白・溜まりの使用率も高く、北陸三県では甘い醤油が好まれます。能登半島では北に行くほど甘さが増し、輪島地域では特に甘くなります。

関西は濃口、淡口の併用地域。京都の懐石料理などの素材を生かす味が好まれています。四国は比較的甘めで、西側は甘さの強いもの、東側は控えめな甘さのものが好まれます。ただ、小豆島は京阪神向けの濃口の伝統的地域で、甘い醤油はほとんどつくられていません。

中国地方の日本海側では特に甘い醤油が好まれる傾向があり、九州では特に甘い醤油が好まれ、甘みが添加されていることも多くあります。

地域ごとの醤油の選び方 1プラス

自分の好みを見つけるために、おすすめは3パターン

①出身地の醤油を選ぶ

②住んでいる地域の醤油を選ぶ

③好きなお酒に合う醤油を選ぶ

出身地の舌に染み付いた味は、地元の郷土料理をつくるために欠かせません。例えば、兵庫県明石市の明石焼には、淡口醤油がよく合います。鹿児島の焼酎は糖分を含まないので、甘い醤油九州の醤油がおいしく感じます。地域の料理やお酒にも、その同じ地域でつくられる醤油が一番マッチするのです。

あなただけのこだわり醤油をみつけるために

こだわりの強い自分好みのお醤油をみつけるための選び方はこの5つ。

① つくりたい料理に合わせて選ぶ

② 原材料を確認して選ぶ

③ 醸造法の種類で選ぶ

④ 仕込み方法の違いにこだわって選ぶ

⑤ 地域による味の違いで選ぶ

木桶での伝統製法を守り続ける醤油蔵のように、醤油蔵の想いまで知ったうえで選んでみると、さらに自分の好みを洗練していくことができます。ぜひ、あなただけのお気に入りの醤油をみつけてくださいね。

【参考文献】

1) 高橋万太郎・黒島 慶子 「醤油本」(玄光社MOOK・2015年)129pp., pp.20-25, pp.44-49, pp.110-113

2) 日本醤油協会「しょうゆの不思議 世界を駆け抜ける調味料」(日本醤油協会・2019年)214pp., 改訂2版, pp.11-27, pp.32-36, pp.128-129

3) 日本醤油協会「しょうゆが香る郷土料理」(農村漁村文化協会・2007年)152pp.