テキサスアユミ さん
宮城県出身。映像制作やベンチャー企業など多岐にわたって活動され、その傍らで始めたキックボクシングでプロデビュー。プロキックボクサー引退後は、人生とともにあった味噌汁の幅広い可能性を感じ、2020年「ドットミソ」を創業。
二人の子どもを育てながら、みそのセレクトショップ「ドットミソ」にて、自社の商品をはじめ、全国各地の味噌を販売している。
現在、江別蔦屋書店・オンラインストアにて、味噌の祭典「ニッポン味噌道中」を開催中!(〜2024年10月27日まで)

アユミさんの人生とともにあった「味噌」の魅力とは?

今回はドットミソ代表のテキサスアユミさんにお話を伺いたいと思います。アユミさん、よろしくお願いいたします。

株式会社ドットミソ代表のテキサスアユミです。
ドットミソ自体は2020年11月に個人事業主として創業し、2022年2月に法人化して今三期目です。もともとドットミソは味噌玉専門店という形で創業しましたが、現在は全国のお味噌を取り扱ったり、自分たちで味噌商品を開発したり、味噌と食に関わる事業を展開しています。

味噌にハマったきっかけや、アユミさんが考える味噌の魅力を教えてください。

実家にいた頃は毎食必ず味噌汁が出たり、味噌が身近にあったので、この日から「味噌って最高!」と思ったことはないのですが、個人的に三食同じものを食べても飽きないというのは白米と味噌汁だけだと思っています。

あと、味噌が健康にいいということはよく知られていると思うのですが、味噌汁を飲むとホッとしたり、心が落ち着いたり、データにはない部分も含めて味噌の魅力かなと思っています。何より、日本人のソウルフードであり、本能レベルで味噌がある生活が普通になっているところが素晴らしいですよね。

味噌事業を始めた理由──「好き」がビジネスになるまで

味噌に特化した事業にしようと思った経緯についてお伺いできますか?

次の仕事を何にしようかなと考えたときに、常に自分の人生とともにあった「味噌」について事業にしたいなと思いました。

味噌は食卓の中で登場する回数が多いものだと思うんですけど、嗜好品ではなく、毎日食べるものなので、すごくビジネスのチャンスがあるなと感じていました。

その中で具体的にどういう事業にするか、なぜ味噌に可能性があるかという部分はすごくリサーチして戦略を立てました。

事業を立ち上げられた際、他に取り組んだりしたことはありましたか?

味噌ソムリエという民間の資格があったので、資格取得も兼ねて、味噌のことを学び始めました。あとは、個人向け食品のブランドとしてどうあるべきかというのは、味噌に関わらず、いろんな業界や競合をチェックしたり、リサーチしたりしながら、自分たちのブランドを立ち上げていきました。

初めは味噌玉専門店だったとお伺いしましたが、味噌を広めたい、気軽に食べてほしいといった想いがあったからでしょうか。

今、味噌の消費量が減っている大きな要因の一つとして、若い方の食卓に味噌が出る回数が減っていることが挙げられると思うので、そういった方々に味噌に再注目してほしい、「味噌っていいんだよ」ということをわかってもらうために、現代のライフスタイルにあったものを作りたかったんです。

その結果として、贈りたくなる味噌という新しい切り口でスタートしましたが、注目していただけました。

味噌の伝統を守りつつ、今の時代に合った形で提案されているんですね。

味噌自体は1300年以上も前に日本に伝来して長年食べられてきたので、健康効果などはずっと揺るぎないものだと思うんです。そういった部分をしっかり残して伝えていくことは大事だと思っています。

ただそこに固執して、売り方やアプローチの仕方などを変えずにいるということには大きな課題があると思っているので、時代が変わって、食べる人が変わっていくのであれば、それに合わせて味噌自体も変えていかなければいけないと思っていますし、新しい挑戦の仕方があるのではないかと思っています。

今回初挑戦となった味噌特化型イベント“ニッポン味噌道中”について

そういった想いがあったからこそ、今回のニッポン味噌道中を開催しようと思ったのでしょうか。

そうですね。私が味噌の仕事を始めた時「なんて種類豊富で味が違うんだろう」「こんなに幅が広いんだろう」と驚いたんですよね。

味噌って自分の好きな味やふるさとの味があるので、それしか食べなかったり、 毎日食べるものだから、皆さんあんまり冒険しない。他のものに挑戦しようと思っても、場所を取るから「何種類も買おう」「新しく買おう」とお菓子のように気軽に買うまでに至らないものだと思うんです。

どうにかして味噌の多様性を伝えられることができないかなと思っていたところに「味噌を集めたポップアップをしないか」という声がかかったので、私が伝えたいと思っていたコンセプトを表現しきれるチャンスだと思い、ぜひやりましょう!と今回の開催に至りました。

イベントへの想いをお伺いできますか?

私は異業種から伝統産業に入っていく身ではあるのですが、今回参加してくださっている味噌蔵の方々には「私たちにできる100%のことをやりきるので、ただ出店して商品を売るだけではなく、次に何か届けられるものを見つけるために、ぜひ一緒に盛り上げてください!」というメッセージを僭越ながら伝えさせていただいています。

その一環でインスタライブなどのSNSを活用した発信をしたり、お客様からの声や感想はなるべく漏らさず、それぞれの味噌蔵さんにお伝えするなど、このイベントを通じて、売れた、盛り上がったという目の前のこと以外に次につながることを一緒に見つけていきたいなと思っています。

味噌蔵さんとのインスタライブも好評ですよね。

今回味噌蔵さんのこういうところにスポットを当てたいとか、持っている想いを伝えたいとか、自分なりに注目している人たちをピックアップしたので、それぞれが持っている想いや、作っているものにしっかりスポットを当てられる企画になっていれば、個人的には嬉しいなと思います。

三浦醸造さんとのインスタライブの様子

お客様の声と、全国各地に広がる味噌の多様性

お客様の反響はいかがでしょうか。

すごくいいですね。お客様の興味の幅が広くて、味噌や発酵に興味を持って、時間をとって全商品に付き合ってくださったり、「これはこういう料理に使うのはどう?」とかすごく丁寧に聞いてくださったり。自分でちゃんと見て、考えて、選んで買っていってくださる方が多いことにすごく驚きました。

あと「この味噌は売れるんじゃないか」とか「この味はきっと札幌の味噌に近いから売れるんじゃないか」という事前の予想が、全然当たらない。本当に人それぞれでした。

1つではなく複数の商品を買われるお客様も多いですか?

今回のコンセプトが、多種多様な味噌を知って、味わってほしいというものだったので、もともと手に取りやすいサイズのものを厳選しました。

実際に食べてもらうと、味が全然違うことをわかってもらえて、この味噌をこう料理しようっていう想像まで出てくるので、試食の効果は絶大ですし、やっぱり直接届ける方がお客さんに信頼してもらえると感じました。

味噌文化の未来を見据えて次なる挑戦へーー

今後の展望についてお伺いできますでしょうか。

今回のニッポン味噌道中は第一回目の開催だったので、コンセプトも含めてどれぐらい世の中に受け入れられるか、すごくチャレンジではあったんですけど、大成功と言えるぐらい反応が良かったので、もっと全国的にムーブメントとして起こしていきたいなと思っています。

次回開催に向けて営業していきたいと思いますし、開催したいという百貨店さんや場所がありましたら、いつでもご連絡いただけたら嬉しいです。

今回のインタビューでは、「ドットミソ」代表のテキサスアユミさんに、味噌への情熱と事業展開について伺いました。

味噌はアユミさんにとって、幼少期から身近な存在であり、味噌の多様性や健康効果、飽きのこない日本人のソウルフードとしての魅力を広めたい、味噌を若い世代に届けたいという想いが伝わってきました。味噌の伝統を守りつつも、現代のライフスタイルに合った新しいアプローチを模索するアユミさんの姿勢が、ニッポン味噌道中というイベント開催に直結したと言っても過言ではないはずです。

アユミさんの挑戦は、味噌業界に新たな風を吹き込み、次世代へと味噌の魅力を伝えていくものとなりそうです。