ふるさと納税やお取り寄せにより、日本各地のご当地調味料を楽しめる機会が増えています。
山形県米沢市の家庭に必ず常備されている「うまいたれ」をご存じでしょうか。
うまいたれとは、山形名物の芋煮など鍋物や煮物をはじめ、めん類や天ぷらのつゆなど、どんな料理にも合う醤油風万能調味料です。
「うまいたれを1度味わったら手放せない!」とリピーターが続出。東北地方だけにとどまらず、全国にファンが増えています。
「うまいたれ」を製造・販売する創業147年の平山孫兵衛商店の今岡さんに、誕生のきっかけや込められた想いを伺いました。
発売から50年。長年親しまれる、うまいたれの魅力に迫ります!
創業から147年。楽しい食卓に寄り添い続ける平山孫兵衛商店
- うまいたれをつくられている平山孫兵衛商店は、どのような会社なのでしょうか。
山形県米沢市にある平山孫兵衛商店の始まりは、江戸時代まで遡ります。当時は上杉藩の御用刀研師でしたが、時代とともに一転。明治9年より醤油・味噌の醸造業を開始しました。
創業以来147年、ふるさとの味一筋に、地元で一番愛用していただける「楽しい食卓のおてつだい」となる商品づくりを心がけております。
- 「楽しい食卓」とは、どのようなイメージでしょうか。
意外に思われるかもしれませんが、昔から米沢市は共働き世帯が多いです。だからこそ、ご飯を食べるときは家族全員で楽しく過ごしてほしい。平山孫兵衛商店がその一役になれればと、想いを掲げました。
米沢の人々に愛されているご当地調味料「うまいたれ」とは?
営業担当の一言「あります!」がすべてのはじまり
- 「うまいたれ」の誕生のきっかけを教えてください。
うまいたれの開発に着手した50年前は、昭和40年代半ばです。世の中には「出汁入り醤油」が普及しはじめた頃でした。出汁入り醤油とは、その名の通り「出汁」「醤油」の役割を併せ持つ万能調味料です。出汁をとる手間を省くことができます。
当時は、高度経済成長期。食事を準備する時間をできるだけ短くしたいニーズ、さまざまな料理に使える便利さから、出汁入り醤油が広がっていきました。
あるお客様に「平山さんのところでは、出汁入り醤油を売ってないの?」と聞かれ、当時は販売していないにも関わらず営業担当者が「あります!」と言ってしまったんです。
その一言がきっかけとなり、社長をはじめ、開発・製造担当者が一丸となってつくり上げたのが「うまいたれ」です。
- お客様からのご要望で誕生したんですね。商品名「うまいたれ」は、インパクトがあります。
そのままですよね。初めて商品名を耳にされた方は「ハッ?」と、驚かれることでしょう。
一般的には「出汁入り醤油」として販売されているので、あえて特別な商品名をつけなくても通じます。商品がおいしさどうかを決めるのはお客様ですが、あえて「うまい」という表現を使っています。
幸いお客様からもおいしいとおっしゃっていただくことが多いので、今となってはこの商品名で良かったと実感しています。
おいしさの秘密はバランスの良い風味
- お客様からは、「うまいたれを手放せない!」とお声をいただくことが多いそうですね。
ありがたいことに「とっても美味しい」「もう、何十年も使い続けている」というお話を伺います。数ある商品の中から、うまいたれを選んでくださることを嬉しく思っています。
- おいしいと評価されているのは、どのような理由からでしょうか。
世の中には、たくさんの調味料があります。他社様の商品も個性的で非常においしいです。手前味噌ではありますが、うまいたれは、かつおの風味と醤油風味のバランスを評価いただいていると思います。さらに、一般的な醤油と比べて甘いので、食べやすいです。
うまいたれは、まず醤油をつくったあとに、適切な温度管理をしながら必要な原材料を配合していきます。そのため、手間がかかるんです。
手間をかけてつくっているからこそ、おいしさを評価していただけてとても嬉しいです。
- お客様は、うまいたれをどのように活用されているのでしょうか。
東北地方のみなさまは、家庭料理にご活用いただいています。東北以外の地域の方は、山形のご当地料理である「芋煮」に挑戦されたり、お客様の地元・ご家庭の料理にもお使いいただいているようです。
なかには、ひと家族では消費しきれない量をお買い求めくださる方も。ご近所やご親戚に配ってくださっているそうです。
発売から50年。「うまいたれ」が愛され続けるワケ
何よりも、作り手である私たちが愛情を注いでいる
- うまいたれ発売から50年間。どのように広がっていったのでしょうか。
発売当初は、山形県の南部に位置する置賜(おいたま)地域を中心に販売していました。それから少しずつ、山形北部や宮城県、福島県に広がっていきました。
私たちは、商品だけでなく、地域の人たちも大切にしていきたいと考えています。単に販路を拡大してきたわけではなく、販売する地域のみなさまに「うまいたれが、楽しい食卓のおてつだいができる商品であること」を伝え続けてきたからこそです。
さらに、約10年前に開設したオンラインショップも後押しになっています。
- うまいたれが、50年間愛され続ける理由を教えてください。
お客様に愛される以上に、つくり手である私たちが商品に愛情を注ぎ続けてきたからだと思います。自信を持ってお客様にすすめられない商品は、50年以上も続きません。
自慢ではなく、自信です。
私たちは、商品ラインナップをむやみに増やさず、うまいたれを育てていくことに力を入れてきました。製造担当・品質担当・営業担当……うまいたれに関わるすべての人と「家族で楽しい食卓をおてつだいする商品を届けること」を大切にし続けています。
このモットーを常に意識できるよう、会社内の見える場所に掲げて仕事をしているんです。
うまいたれに、愛情を注いでくれる人たちと届け続ける
- 今や日本全国にうまいたれの輪が広がってますよね。今後もさらに全国展開に力を入れていかれるのでしょうか。
全国どこにいても買えるという考え方は大切です。でも、私たちは愛情を最優先に考えています。
私たちと同じように「うまいたれに愛情を注いでくださるか」を展開するための条件としています。
人口が減少しているため、米沢だけで販売を続けるのは難しい。「この会社ならうちの商品を愛して、想いとともに一生懸命売ってくださるのではないか」と思えるお取引様と一緒に、うまいたれの輪を広げています。
- やみくもに展開されるのではなく、販売先を慎重に選ばれているんですね。
「売上・利益さえ得られればいい」「うまいたれって売れているらしいから、うちでも扱うか」という考えでは愛情を注いでいただけません。
たとえば、当社が品質管理を徹底していても、販売先でずさんな品質管理をされたり、売上のために賞味期限間近の商品を販売されると、本来お届けしたい品質で商品をお客様にお届けできないですよね。
お取引先様のお考えを伺いながら、少しずつ広げていきたい。私としては47都道府県それぞれで1店舗ずつからスタートしてもいいくらいです。その方が、結果的にお客様に喜んでいただけるはず。
愛情を注いでくださるお取引先様であれば、お客様にも商品に込めた想いが伝わります。どこにでも売っているものではなく、商品への情熱をもっていたり、こだわりをもつお店で販売していただきたいです。
お取引先様で、うまいたれを購入されたお客様が「また使いたい」「おいしい」と思っていただけたら、私たちも励みになります。
私たちの想いをともに届けてくださるパートナーからお客様へ。また私たちに返ってくる。その繰り返しが、未来に繋がると信じています。
- 米沢地域での展開については、いかがでしょうか。
私たちは米沢で創業した会社です。全国に展開しつつも、地元を大切にしたい想いはこれからも変わりません。米沢においても、次の世代に繋げていき、みなさまに貢献し続けなければならないと思います。
10年、20年、30年とみなさまの食卓に、うまいたれがあり続けるように、できることをひとつひとつ取り組んでいく。それが私たちの使命です。
- 最後に、この記事を読んでくださっている方にメッセージをお願いします。
日本各地には、さまざまな出汁入り醤油があります。平山孫兵衛商店のうまいたれは、山形県のご当地料理の芋煮をはじめ、煮物や鍋物、めんつゆや天つゆ、卵かけご飯といったさまざまなメニューにお使いいただける万能調味料です。私のおすすめは、そうめんのつゆ。お中元やお歳暮といったプレゼントとしても喜ばれております。ぜひ、ご賞味ください!
【公式】平山孫兵衛商店ネットショップ