「塩麹」。今や発酵調味料のひとつとして、スーパーにも様々なメーカーの商品が並んでいます。一方で「お肉に漬け込んで使っているけど、他にどうやって使えばいいのかわからない」といった声も。
実は、塩麹はおうちでも簡単に作ることができ、料理にも多彩に活用できる優れものです。
ここでは、塩麹とは何かを紐解きながら、塩麹のおいしい作り方や塩麹を使った簡単レシピも合わせてご紹介します。
「塩麹」。今や発酵調味料のひとつとして、スーパーにも様々なメーカーの商品が並んでいます。一方で「お肉に漬け込んで使っているけど、他にどうやって使えばいいのかわからない」といった声も。
実は、塩麹はおうちでも簡単に作ることができ、料理にも多彩に活用できる優れものです。
ここでは、塩麹とは何かを紐解きながら、塩麹のおいしい作り方や塩麹を使った簡単レシピも合わせてご紹介します。
塩麹は、塩味に甘味を兼ね備え、食材に漬けたりすることで食材の旨味を惹きだす調味料です。塩麹で和えたり、漬けたりすることで、その素材をより美味しくいただけます。他にも、炒めものの味付けや炊き込みごはんなど、塩麹を使うだけでおいしい料理を作ることができる、まさに万能調味料なのです。
塩麹を台所の調味料としてアレンジし広めたのは、大分県の麹屋本店の浅利妙法さん。この見本になったのは、江戸時代の文献に記載されている「塩麹漬」1)だと言われています。
この時代には主に「漬け床」として塩麹が使われていたようです。他にも東北の三・五・八漬けも塩麹と似ていることから、こちらもルーツとして挙げられています。2)
塩麹の材料は「麹」「塩」「水」のみ!とてもシンプルです。ここで大事になる「麹」について見てみましょう!
―「麹」とは一体?
「麹」は、穀物にコウジカビを生やしたものです。特によく使うのが「米麹」。
これはお米にコウジカビを生やしたものです。つまり、麦であれば「麦麹」、豆であれば「豆麹」となります。
コウジカビを蒸したお米にまき、コウジカビはお米の栄養分を分解しながら、分解したものを栄養源にして増えていきます。この栄養分を分解するために、でんぷんを糖に分解する酵素や、タンパク質をアミノ酸やペプチドに分解する酵素など、様々な酵素を生成します。
実は私たちはこの分解酵素を利用して、発酵食品に応用しているのです。今回の塩麹で見てみると、麹菌が作ったでんぷん分解酵素が、お米のでんぷんをより分解し、糖が増えることによって甘味をもたらします。
お肉を塩麹に漬けると、柔らかくなったり旨みが増すのは、この分解酵素が働いているからだと言われています。3)
(材料)
生麹:100 g (麹はほぐしておきます)
塩:33 g
水:110 cc
保存容器(消毒しておきます)
※おすすめの容器は、セラーメイトのスクリュー瓶です。作りたい分量にあった容器で作ってみてください。
(作り方)
①保存容器に材料を全て入れて、よく混ぜる。
②蓋をして常温に置き、7〜14日程度清潔なスプーンで毎日混ぜる。
※常温で置く期間は、季節や部屋の環境で前後します。
③完成したら、冷蔵庫で保存する。
男性やお子さんは麹のつぶつぶが気になってしまう方も多いです。気になる場合は、完成した後、ブレンダーなどでペースト状にしてみてください。
・美味しい麹を使う
麹の中でもでんぷん分解酵素などが働かない麹を使うと、甘味が作られず塩麹が美味しく仕上がりません。麹選びはとても大事なのです。
また、麹の保存にも注意が必要です。生麹の場合は、冷蔵庫で一週間程度と期限も短くなっています。乾燥麹の場合も封を開けたら、冷蔵庫で保管するようにしましょう。
・塩分濃度を変えない
塩分濃度を下げてしまうと、カビなどの雑菌が繁殖しやすい状況になり、危険です。また、塩分濃度を上げすぎると、塩味が強くなってしまいます。仕上がり量を増やしたい場合は、濃度を守るように調整してください。
・乾燥麹の場合は水分量に注意する
今回のレシピは、生麹の分量を記載しています。乾燥麹の場合は、麹がもつ水分量が少ないため、水分をぐっと吸ってしまいます。そのため、乾燥麹を使用する場合は、パッケージに書かれている戻し方に従って、先に水分を吸わせて戻しておくことがおすすめです。
塩麹の保存は、冷蔵庫で約3か月程度が目安とされていますが、表面にふわふわしたものが付いていたり、においや味がおかしいと感じた場合は腐敗している可能性が高いので、捨てるようにしましょう。
1日混ぜ忘れるくらいは問題ない場合が多いです。混ぜ忘れることによってアルコール臭が出てくることがあります。その場合は、気づいた際によく混ぜるようにしましょう。
また、数日混ぜ忘れていて、見た目・香り・においがおかしくなっている場合は腐敗している可能性が高いので、新しいものに作り直すようにしましょう。
夏の場合だと1週間程度で完成しますが、寒くなるほど分解酵素が働きにくくなるため、冬の寒い時期は完成まで2週間程度かかる場合もあります。そのため、塩麹を味見し、塩の角が取れて麹の表面が柔らかくなっていれば完成として冷蔵庫に入れます。完成してすぐはまだ麹の芯がざらつく場合がありますが、冷蔵庫の中でもじわじわ分解酵素が働くので、次第に柔らかくなっていきます。
もちろんヨーグルトメーカーでも作ることができます。その場合は、58℃に設定すれば、およそ6時間程度で完成します。完成後は、消毒した容器に移し替えて、冷蔵庫で保存します。
なぜ、短時間でできるのか。それは、麹にあるでんぷん分解酵素が58℃付近で活発に働くためです。すぐに作りたい場合などは、ぜひヨーグルトメーカーを活用してみてください。
「作るのが面倒・・・」そんな時は市販のものでも大丈夫です。
市販のものを使用する際に注意してほしいことは、塩分量に差があるということです。そのため、レシピの塩麹の量は少なめから加えて、味見をしながら徐々に味を決めていきましょう!
(材料)
レタス(食べやすい大きさにちぎる):半玉
海苔:適量
ごま油:少々
塩麹:小さじ1~
(作り方)
①ボウルに水気を切ったレタスを入れ、ごま油を加えて混ぜる。
②①に塩麹を入れて、味見をしながら塩麹の量を足す。
③最後に海苔を足す。
(ポイント)
レタスの他にキュウリなども使えます。
(材料)
小松菜(1cmに切る):120 g
じゃこ:10g
ごま:大さじ1.5
ごま油:適量
塩麹:小さじ2
みりん:小さじ1
(作り方)
①フライパンにごま油をひき、小松菜、じゃこを入れて炒める。
②しんなりしたら、塩麹とみりんを加えて炒める。
③かさが減ったら、ごまを和える。
(ポイント)
塩麹は焦げやすいので注意しましょう。
(材料)
じゃがいも:3つ
塩麹:小さじ1~1.5
植物油:小さじ2/3
(作り方)
①オーブンを200℃に余熱する。
②じゃがいもは好きな形に切る。
③材料すべて合わせて混ぜる。
④クッキングシートの上に②を広げて置き、 200℃のオーブンで15分間焼く。
(ポイント)
オーブンの種類や使用年数によってパワーが異なるため、様子を見ながら温度や時間は調整してください。
【参考文献】
1)前橋健二「新しい醸造調味料「塩麹」の特性」(日本醸造協会誌・2016年)111巻2号, pp.71-78
2)小泉武夫「絵でわかる麹のひみつ」(講談社・2015年)
3)阿部真紀「日本調理科学会誌」(日本調理科学会・2016年)Vol.51, No.3, pp.142-150
タグ