こだわりの好みの醤油に出会ったときほど、心ときめく瞬間はありません。お刺身、お寿司、煮物にお浸し、醤油は欠かせない存在ですよね。だからこそ、お気に入りの自分好みの醤油が一本あると、家庭料理の味がぐっと深まるもの。
さまざまな醤油があるなかで、2倍の材料と2倍の時間をかけて木桶で造られる「鶴醤」は、かけるだけでまるで高級料亭のような深い味わいが人気の醤油。
今回は、その鶴醤を野菜とかけ合わせて、素材の旨みを贅沢に味わう炊き込みご飯にしました。お米と野菜の旨みや甘みを引き出す鶴醤の濃厚で深い味わいを、ぜひほかほかご飯と共にお楽しみください!
ひとさじで世界が一変する醤油「鶴醤」とは
今回、炊き込みご飯で使用した「鶴醤」は、香川県小豆島の醤油蔵であるヤマロク醤油の再仕込み醤油。深いコクとまろやかさが特徴の鶴醤は、みっちりと菌が住み着いた150年以上も使い込まれた木桶で造る天然醸造の醤油。再仕込みという製法で造る鶴醤は、通常2年で完成する醤油を、じっくりと4年以上かけて造られています。
通常の醤油造りでは大豆と小麦で造った麹に塩水を加えて諸味にします。これに対し再仕込み醤油では、塩水ではなく約2年熟成した生醤油を使い、さらに2年ほど熟成させます。そのため、使用する原料は2倍、出来上がるまでにかかる時間も2倍かかる贅沢な醤油なのです。
味わいもその分濃厚な旨みを持ち、開封時や調理するときの香り立ちも食欲をそそります。木桶でじっくり熟成された、まろやかで凝縮された旨みは絶品そのもの。
木桶復活プロジェクトの発起人であるヤマロク醤油
鶴醤を手がけるヤマロク醤油の当主山本さんは、木桶仕込みを復活させようと木桶復活プロジェクトをスタートさせた発起人。実際にご自身で木桶をつくり後世に残す、昔ながらの醤油造りをしています。
醤油蔵の木桶にびっしりと100年、150年と住み着いた菌たちは、天然醸造にしか出せない、まろやかで深みのある醤油を生み出すために欠かせない存在。それぞれの醤油蔵の独自の味を生み出します。「地獄」と表現されるサウナのような過酷な環境で、愛情たっぷりに醸された鶴醤の旨みは深くまろやか。その鶴醤の深い味わいが、全国のファンに愛されている理由です。
「鶴醤」でつくる贅沢すぎる炊き込みご飯
オーガニック屋としてさまざまなこだわり調味料をお客様にお届けしてきた私ですが、一番好きな調味料は醤油。はじめて出会う醤油は、開封してまずそのまま香りを楽しみ、次に白い小皿に垂らして色を楽しみ、最後にペロリと舐めてその味わいを楽しみます。
ソムリエになった気分で、舌の上で転がしてみたり、口の中に広がる香りを楽しんでみたり。そうして自分のお気に入りの醤油に出会えたら、いつものお浸しですら味わい深く輝き出す、この瞬間が大好きです。
そんな私がいつもお客様に醤油を一番楽しむ方法としておすすめしてきたのが、ご飯。日本人の主食だからこそ、お米と醤油のハーモニーは無限だと思うのです!
今回ご紹介する炊き込みご飯は、素材を生かしたシンプルな味付け。そのため、アレンジを楽しんだり、醤油を変えたり、醤油の量を好みに調整したり、好みに合わせて何通りも味わい尽くすことができます。贅沢な醤油が染みたご飯に野菜の旨みをたっぷり加えた炊き込みご飯を、どうぞお楽しみください。
ほくほく甘い バター醤油さつまいもの炊き込みご飯
【材料】
さつまいも(はみ出さないなら好きなだけ!) 塩:手のひらに薄くまんべんなくつく量
お米:2合 鶴醤:小さじ2 バター:1欠
【作り方】
1.さつまいもを一口大に切る。
2.両手のひらに薄くまんべんなく塩を広げ、さつまいもに塩をもみ込む(手塩をする)。この塩は、そのまま炊き込むことでさつまいもの甘みを最大に引き出す隠し味。
3.炊飯器にお米を入れたところに醤油を加えてから、分量まで水を加える。
4.手塩をしたさつまいもをのせて炊く。
5.食べる直前にバターをのせ、余熱で溶かしながらよく混ぜ込む。
鶴醤は、木桶での長い熟成期間によって角がとれた優しい塩気。色が濃く、旨みが濃厚なのに塩辛くなりません。また、鶴醤の深いコクはバターのコクとも相性抜群。さつまいもの甘みが加わるので、みりんなどの甘みは加えずに召し上がってみてください。
鶴醤と玉ねぎの旨みを味わう 丸ごと玉ねぎの炊き込みご飯
【作り方】
1.皮を剥いた玉ねぎに、縦・横と切り込みを入れておく。切り込みは無くてもOK。切り込みが多いとご飯と混ざりやすく旨みが浸透しやすい。切り込みが少ないと混ぜずに取り分けしやすい。
2.炊飯器にお米を入れたところに醤油を加えてから、分量まで水を加え、上から玉ねぎを丸ごとのせて炊く。
3.炊きあがった玉ねぎをほぐす。
玉ねぎの甘みと旨みたっぷりの出汁が醤油と絡み、ご飯にたっぷりと染み込む炊き込みご飯です。炊き上がるときに、玉ねぎと醤油の香ばしい香りが立つので、この香りまで楽しむのが醍醐味。トマトやピーマンを加えたり、ごま油を垂らしてアレンジしたりしても◎アレンジしても醤油の味が負けずにより一層引き立つのは、濃厚な鶴醤ならでは。
すだちが香る里芋と椎茸のほっこり炊き込みご飯
【材料】
里芋(好きなだけ) 椎茸:4個 お米:2合 鶴醤:小さじ2 すだちの皮:少量
(すだち・カボス・ゆず・レモンなど手に入る柑橘で。オレンジでもOK)
【作り方】
1.里芋は皮を剥き、一口大に切る。
2.椎茸を一口大に切り、すだちの皮は小さく千切りにしておく。
3.炊飯器にお米を入れたところに、醤油を加えてから分量まで水を加え、里芋と椎茸をのせて炊く。
4.炊き上がりに、スダチの皮を混ぜ込む。
里芋の煮物を作りたくないときにおすすめの炊き込みご飯。炊き込みご飯なら鍋の洗い物が一つ減って、ちょっとだけ気楽になりますね。柑橘は、手に入る国産の旬の柑橘をぜひ取り入れてみてください。柚子の皮は、一緒に炊き込んでも香り豊かに仕上がります。
贅沢な醤油「鶴醤」を楽しみ尽くすために
贅沢な濃厚さが特徴の鶴醤は、そのままかけ醤油として使うだけでもまるで高級料亭のような深みのある味わいに。脂の乗ったお刺身やお肉にも相性がいい鶴醤は、野菜の旨みも存分に引き出してくれます。
余ったご飯はおにぎりにして冷蔵や冷凍保存しておき、グリルやトースターでじっくり表面がカリッとした焼きおにぎりにすると、大人も子どもも好きな朝ご飯やおやつに大変身。みりんやお砂糖の甘みを加えなくてもコクがあるので、子どもたちも大喜びです。
鶴醤ならではの香りとコク、濃厚な旨みは、いつものご飯を驚くほど深みのあるものにしてくれます。炊き上がりが待ちきれないほど香り立つので、ぜひお試しくださいね。