料理に味わい深い甘さ、照り、つやを与える調味料・みりん。近年、料理だけでなく飲み物としても楽しまれ、再注目されていることをご存じでしょうか。
江戸時代、城下町である石川県金沢市で創業した酒蔵・福光屋(ふくみつや)。日本酒をつくりながら長きにわたりみりんもつくり続けています。
現在は、テレビや雑誌で活躍する料理家からも愛されている「福みりん」。株式会社 福光屋で広報を担当されている岡本亜矢乃さん、平木明美さんにお話を伺い、「福みりん」が愛され続けている秘密に迫りました。
料理に味わい深い甘さ、照り、つやを与える調味料・みりん。近年、料理だけでなく飲み物としても楽しまれ、再注目されていることをご存じでしょうか。
江戸時代、城下町である石川県金沢市で創業した酒蔵・福光屋(ふくみつや)。日本酒をつくりながら長きにわたりみりんもつくり続けています。
現在は、テレビや雑誌で活躍する料理家からも愛されている「福みりん」。株式会社 福光屋で広報を担当されている岡本亜矢乃さん、平木明美さんにお話を伺い、「福みりん」が愛され続けている秘密に迫りました。
時代とともに、酒やみりんの位置づけ、お客様が求めることが大きく変化してきました。時代の変化をキャッチし、お客様が求めることに応えられるように柔軟な姿勢を取り続けることを大切にしています。
かつて日本酒は、地域の酒屋で販売されていました。大手量販店の台頭によって廃業する酒屋が増え、日本酒の未来が危ぶまれたことがあります。手に取っていただくお客様を考え、届け方も時代とともに変えました。
一方で、研究開発力、原材料や製法にこだわり、私たちが自信をもっておすすめできる商品をお届けする姿勢は変わりません。
みりんは、料理に奥行きのある、柔らかい甘みをつけることができます。料理の甘みといえば、砂糖を思い浮かべる方も多いでしょう。実は砂糖とみりんでは含まれる糖の種類が異なります。
砂糖はショ糖の1種類のみですが、みりんにはブドウ糖やオリゴ糖など9種類の糖が含まれているんですよ。砂糖は強い甘さを出したいときに、みりんは和食など奥深い味わいを出したいときに活用されることが多いです。
みりんは「本みりん」「みりん風調味料」「発酵調味料」の3種類に区分されます。※それぞれ使用する原材料や製法、風味、価格が異なります。
福光屋がつくるみりんは、酒税法で定義される「本みりん」と呼ばれるものです。私たちが理想とするみりんは、こだわりのある原材料を使用し、自然の摂理に従った製法でつくられたものです。
本みりんのなかには、お客様が手に取りやすいように、安価な外国産の原料、短い熟成期間でつくられるものもあります。私たちは安価に届けられなくても、原材料と製法へのこだわりをあえて優先しています。
※みりんの種類や違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事をチェック
本みりんは、もち米、米麹、焼酎または醸造アルコールを主原料として醸造される酒類調味料です。福光屋のみりんは、国産のもち米と米麹、自社の米焼酎を原料に使用しています。
もち米は、みりんの主原料です。福光屋では石川県産100%のもち米を使用しています。実は国産のもち米は非常に貴重なんです。国の調査によると、米の生産量の4%といわれています。
私たちは「地産地消」はもちろんのこと、「互産互消」という考え方も大切にしています。「互産互消」とは、地域間でないものを交換し、生かしあうことです。この考えに基づき、契約栽培した兵庫県産の「フクノハナ」を100%使った米麹を原料に使っています。
本みりんをつくるうえで、原料に糖類を加えることが認められています。振り返ると、糖類を添加して甘みを補っていた時期もありました。自然の力を最大限に生かすことにもこだわりたく、現在は米麹を増やすことで自然の甘みを引き出す方法を採用しています。
また、外部のメーカー様から購入した焼酎を使っていた時期もありましたが、今は自社でつくる日本酒を蒸留した本格米焼酎を使用しています。
古くから酒造りの重要な工程を表す「一麹、二酛、三造り(いちこうじ、にもと、さんつくり)」という言葉があります。何よりもまず、麹をつくる工程が大切です。
麹菌が活動しやすいように、米の外側をかたく、内側がやわらかくなるように蒸します。温度管理も重要です。麹が日本酒やみりんの風味の決め手になるため、杜氏が最も神経を使う工程です。
自社の本格米焼酎に、丁寧につくられた米麹、もち米を加えて仕込み、8カ月以上の時間をかけてじっくりと熟成していきます。熟成中は、風味が均一に行きわたるようにもろみをかき回す「櫂入れ(かいいれ)」という作業も幾度となく実施しています。櫂入れも蔵人の手作業で行っています。
熟成後、福光屋独自の技法で、ゆっくりとみりんを搾ります。時間をかけてゆっくりと搾ることで、熟成後のうまみをそのまま引き出すことができるのです。
現在は4月頃と9月頃の年2回みりんを仕込みます。杜氏をはじめ、15名の蔵人が日々熟成状態を管理しています。
原材料や製法にこだわりつづけている福光屋。2023年、「福みりん」シリーズを刷新しました。次回は、インタビュー後編として、リニューアルにかける思い、福みりんの今後についてご紹介します。
タグ
作り手